葬儀と火葬を終えたその足で、お墓へ向かい納骨まで行う。この当日納骨を選択した場合、ご遺族が特に気になるのが、僧侶にお渡しする「お布施」の扱いです。通常の葬儀と四十九日法要を別々に行う場合は、それぞれの機会にお布施を用意しますが、一日でまとめて行う場合はどうすれば良いのでしょうか。まず、基本的な考え方として、当日納骨は「葬儀・告別式」と「納骨法要」という、二つの異なる宗教儀式を同日に行うものだと理解する必要があります。お布施は、読経や儀式に対する対価ではなく、ご本尊への感謝と、お寺を護持していくための寄付という性質を持つものです。したがって、二つの儀式をお願いしたのですから、その分の感謝を形にするのが丁寧な考え方です。具体的には、一つの封筒に「葬儀・告別式のお布施」として、もう一つの別の封筒に「納骨法要のお布施」として、それぞれ用意します。そして、すべての儀式が終わった後、喪主が僧侶にご挨拶に伺う際に、二つの封筒をまとめてお渡しするのが最も正式なマナーです。ただし、近年では、ご遺族の負担を考え、一つの封筒に合算した金額を包み、表書きを単に「御布施」としてお渡しするケースも増えています。どちらの形が良いか迷った場合は、事前に葬儀社やお寺に直接相談してみるのが最も確実です。金額の相場については、地域やお寺との関係性によって大きく異なりますが、一般的に、葬儀・告別式のお布施とは別に、納骨法要のお布施として三万円から五万円程度を追加で包むことが多いようです。さらに、お布施とは別に、僧侶の移動に対する「御車代」や、会食に同席されない場合の「御膳料」を用意するのがマナーです。これらはそれぞれ別の袋に入れ、お布施と一緒にお盆に乗せてお渡しします。大切なのは、二つの儀式をお願いしたことへの感謝の気持ちを、こうした形で具体的にきちんと示すことです。