大切な家族が亡くなると、遺族は通夜、葬儀・告別式という慌ただしい時間を過ごすことになります。そして、火葬が終わった後、ご遺骨をどこに安置するかという問題に直面します。伝統的には、ご遺骨は一旦自宅に持ち帰り、「後飾り祭壇」に安置し、四十九日の法要を営んだ後に納骨するのが一般的です。この四十九日間は、故人の魂が来世の行き先を決めるための大切な期間とされ、遺族が死の現実と向き合い、悲しみを癒していくためのグリーリフケアの時間という意味合いも持っていました。しかし近年、様々な事情から、この四十九日を待たずに、葬儀・火葬の当日にそのまま納骨まで済ませてしまう「当日納骨」あるいは「即日納骨」という選択をするご家庭が増えています。この背景には、遺族の高齢化や、子供たちが遠方に住んでいるため何度も集まるのが難しいといった、現代社会ならではの現実的な理由があります。葬儀で一度親族が集まった際に、納骨まで済ませてしまえば、四十九日のためにもう一度集まる手間と時間、そして経済的な負担を大幅に省くことができます。また、すでにお墓の準備が整っている場合や、故人が生前に「早くお墓に入りたい」「残された家族に負担をかけたくない」と希望していた場合などにも、この当日納骨が選ばれることがあります。当日納骨を決めた場合は、葬儀の準備と並行して、お墓の管理者に連絡を取り、納骨室の開閉を石材店に依頼する必要があります。また、事前に親族へその旨を丁寧に説明し、理解を得ておくことも、後々のトラブルを避けるために非常に重要です。ただし、この選択には、菩提寺との関係や、親族間の合意形成など、事前にクリアしておくべき課題も存在します。伝統的な形式と、現代的な合理性の間で、自分たちの家族にとって何が最善の選択なのかを、じっくりと考える必要があるのです。
葬儀当日に納骨まで行うこと