男性は葬儀にカバンを持たないのが基本
葬儀における男性の持ち物について、意外と知られていないのが「原則として、カバンは持たない」というマナーです。これは、男性のフォーマルな服装において、必要なものはスーツのポケットに収納するのが基本である、という考え方に基づいています。具体的には、香典を包んだ袱紗、数珠、財布、携帯電話、ハンカチといった最低限の必需品は、スーツの内ポケットやズボンのポケットに収めるのがスマートな作法とされています。ポケットが膨らんで不格好になるのを避けるためにも、財布は薄型のものに入れ替え、持ち物は極力少なくするのが望ましいでしょう。この「手ぶら」のスタイルこそが、最も格式高い男性の参列マナーなのです。しかし、現代では、遠方からの参列で着替えや書類を持っていたり、仕事の都合でどうしても荷物が多くなったりと、カバンを持たざるを得ない状況も少なくありません。そのような場合にカバンを持つのであれば、女性と同様の厳しい基準が求められます。色は「黒」で、素材は布製か光沢のない革製。デザインは極めてシンプルで、装飾やブランドロゴが目立たないものを選びます。形は、書類などが入る薄型のセカンドバッグやクラッチバッグが適切です。ビジネスバッグを持つ場合は、ナイロン製などのカジュアルなものは避け、黒革のシンプルなデザインのものを選び、床に置いても自立するタイプが望ましいでしょう。いずれにせよ、カバンを持つのは「やむを得ない場合」の例外的な対応である、という認識を持つことが大切です。斎場内では、カバンは焼香の際などに邪魔にならないよう、足元に置くのがマナーです。